私がふと会いたくなる人シリーズ。
その人は、渋谷でレストランバーを開いていた人。
彼は、私と同じ歳くらいだった。
彼のレストランは、かつて私の先輩達がアルバイトしていたお店と同じ、
渋谷の雑居ビルの中にあった。
ある日ふらりと立ち寄ったお店。
「田舎から、魚を送ってもらっているんです」と直送の鮮魚を勧めてくれた。
私はその店長と沢山話した。意識的にした訳ではなかったのに、そのお店は「渋谷と言えばそこ」と
私の行きつけのお店になっていた。
同じ歳で、お店を切り盛りしている彼を私は、素直に「凄いなあ」と思っていた。
心から応援したかった。
頑張っている彼からエネルギーをもらっていたのか、私は渋谷に行くたびに、彼のお店を訪ねていた。
開店から数年後、ある夜、彼は「実はお店を閉めることになったんです」と言った。
理由ははっきりとは覚えて無いけれど、経営が厳しかったのかも知れない。
渋谷を訪れ、その雑居ビルの前を通る度に、あるはずもない2階、
かつて、彼が切り盛りしていたお店の場所に目を向けてしまう。
彼は元気なのかな。
私には沢山の思い出がある街、渋谷。